【本日の記事】国を離れる南アフリカの若者たち
Young South Africans speak: Why we are leaving the country
【元記事】
南アフリカの若者が、国に希望を感じず国外に出て行ってしまっているというニュース。
大統領が、若者に対して、国外に行かないように、行ったものは帰って国の発展に寄与するように訴えた、というけれど、それなりのインセンティブがないと難しいように感じるなあ…
私のパートナーも南アフリカ人ですが、親戚にはドバイやロンドンで働いている人、幼少期をオランダで過ごした人なども多いです。(いわゆる黒人の人なので、幼少期の国外滞在は、教育の機会を求めたり、アパルトヘイトから逃れるためだったのかもしれませんが…)
英語圏であり、英語でビジネスを容易にできる優秀な人材にとっては、国外にも多くの可能性がありますよね。
ここでは編集部に送られた、大統領向けの多くの手紙の中から、ピックアップされた15人の若者の声が紹介されています。
政府の腐敗、いまだに基本的な電気や教育が行き届かない現状に憤る声や、大学の学位を2つとっても、3年間無職で国への想いが薄れてしまたという声など。
「教育があれば貧困から抜け出せる」と信じ、弟たちにも行ってきたが、学位を取っても無職。今は、教育はこの国を出て、よりよい暮らしを手に入れるためのものだと思っている、という声。マンデラ亡き後のリーダー不在を嘆く声。
BEE(アパルトヘイト後に制定された黒人の雇用を促進するための法律)が国をだめにしている。能力ではなく肌の色で判断されているという声。本当は国を出たくないけれど、職をもとめて国外に出るという声。
若者の声が政治に届かないことを嘆く声。
政治の機能不全、若者に国に残るように言うのであれば、それなりの価値を教えてほしいという声。
その中でも、国をよりよくするために、もっと多くの人が国外に住む経験をするべき、という声も。
アファーマティブアクションがとられる南アフリカ。
それによっていわゆる”白人”と呼ばれる人々も職を得ることが難しくなったといわれています。
しかし、この声を聴くと、決して”黒人”と言われる人々も簡単に職を得られているわけではありません。「教育によって貧困を脱出する」と意気込んだものの、学位を複数とっても職がない、という状況があります。
この記事を読んで、そして個人的にいろんな人の話を聞いて思うのは、これま肌の色に関係なく、とにかく絶対数として職がないということ。
アパルトヘイト時代は、”白人”に独占されていた人材市場が、それの何倍もの人口の有色人種にも開放された。経済規模が同じであれば、当然競争が増すだけです。
それまでと同じように学位を取っても、その受け皿がない。
中には、BEEのせいで肌の色で逆差別が起きている。という声があるのは、理解はできます。
しかし、問題はそんなに単純ではないという感じられるのです。
BEEがあったとしても、それまで不利益を被ってきた人の中には、まだ基礎教育にすらしっかりとアクセスできない人もいます。
利益の分配にも、まだまだ問題はあります。
教育にアクセスできたとしても、職はない。それは肌の色関係なく起こっていることです。
若者(特に歴史的ハンデのある有色人種)は、良い職(バンカーやコンサルなど)についても、パートタイムでMBAなどの学位をとる人も多いといいます。
そこまでしないと職がない。そうした職歴と学歴があるひとが、一部の少ないパイを握っているように思えます。
あと、もう一つ面白い事実としては、国をでていく若者も多いものの、南アフリカに移住してくる人も多いということ。(自分もしかりですが)
特に他の英語圏が多いですが、ほかにも欧州の国から移住してくる人もいます。わたしも数か月の短い滞在で、何人も会いました。ほぼみんなヨーロッパから。
気候がとてもいいし、物価もそんなに高くないし、ある程度学歴もスキルもある人たちにとっては、とても住み心地のいいところなんだとか。
いくつもの階層に別れた社会が垣間見えます。