中上級者の英語との遊び。

TOEIC900点。南ア在住。成長が止まった英語力を伸ばすためのブログ。

【本日の記事】国を離れる南アフリカの若者たち

Young South Africans speak: Why we are leaving the country

 

【元記事】

 

m.news24.com



南アフリカの若者が、国に希望を感じず国外に出て行ってしまっているというニュース。

大統領が、若者に対して、国外に行かないように、行ったものは帰って国の発展に寄与するように訴えた、というけれど、それなりのインセンティブがないと難しいように感じるなあ…

 

私のパートナーも南アフリカ人ですが、親戚にはドバイやロンドンで働いている人、幼少期をオランダで過ごした人なども多いです。(いわゆる黒人の人なので、幼少期の国外滞在は、教育の機会を求めたり、アパルトヘイトから逃れるためだったのかもしれませんが…)

英語圏であり、英語でビジネスを容易にできる優秀な人材にとっては、国外にも多くの可能性がありますよね。

 

ここでは編集部に送られた、大統領向けの多くの手紙の中から、ピックアップされた15人の若者の声が紹介されています。

政府の腐敗、いまだに基本的な電気や教育が行き届かない現状に憤る声や、大学の学位を2つとっても、3年間無職で国への想いが薄れてしまたという声など。

「教育があれば貧困から抜け出せる」と信じ、弟たちにも行ってきたが、学位を取っても無職。今は、教育はこの国を出て、よりよい暮らしを手に入れるためのものだと思っている、という声。マンデラ亡き後のリーダー不在を嘆く声。

BEE(アパルトヘイト後に制定された黒人の雇用を促進するための法律)が国をだめにしている。能力ではなく肌の色で判断されているという声。本当は国を出たくないけれど、職をもとめて国外に出るという声。

若者の声が政治に届かないことを嘆く声。

政治の機能不全、若者に国に残るように言うのであれば、それなりの価値を教えてほしいという声。

その中でも、国をよりよくするために、もっと多くの人が国外に住む経験をするべき、という声も。



アファーマティブアクションがとられる南アフリカ

それによっていわゆる”白人”と呼ばれる人々も職を得ることが難しくなったといわれています。

しかし、この声を聴くと、決して”黒人”と言われる人々も簡単に職を得られているわけではありません。「教育によって貧困を脱出する」と意気込んだものの、学位を複数とっても職がない、という状況があります。

この記事を読んで、そして個人的にいろんな人の話を聞いて思うのは、これま肌の色に関係なく、とにかく絶対数として職がないということ。

 

アパルトヘイト時代は、”白人”に独占されていた人材市場が、それの何倍もの人口の有色人種にも開放された。経済規模が同じであれば、当然競争が増すだけです。

それまでと同じように学位を取っても、その受け皿がない。

 

中には、BEEのせいで肌の色で逆差別が起きている。という声があるのは、理解はできます。

しかし、問題はそんなに単純ではないという感じられるのです。

BEEがあったとしても、それまで不利益を被ってきた人の中には、まだ基礎教育にすらしっかりとアクセスできない人もいます。

利益の分配にも、まだまだ問題はあります。

教育にアクセスできたとしても、職はない。それは肌の色関係なく起こっていることです。

若者(特に歴史的ハンデのある有色人種)は、良い職(バンカーやコンサルなど)についても、パートタイムでMBAなどの学位をとる人も多いといいます。

そこまでしないと職がない。そうした職歴と学歴があるひとが、一部の少ないパイを握っているように思えます。



 

あと、もう一つ面白い事実としては、国をでていく若者も多いものの、南アフリカに移住してくる人も多いということ。(自分もしかりですが)

特に他の英語圏が多いですが、ほかにも欧州の国から移住してくる人もいます。わたしも数か月の短い滞在で、何人も会いました。ほぼみんなヨーロッパから。

気候がとてもいいし、物価もそんなに高くないし、ある程度学歴もスキルもある人たちにとっては、とても住み心地のいいところなんだとか。

 

いくつもの階層に別れた社会が垣間見えます。